【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 帰り道は、来た道と真逆だった。
 王都に向かって続く広く整った馬車道が恨めしい。
 後ろ髪を引かれる気分で、流れる風景を見ていた。

「どうだった、アイスベルク領は」

 父上の声が弾んでいる。

「楽しかったです」

 素直に答える。

 もう大丈夫かもしれない。
 子どもたちの集まりで苦しむことはあるかもしれないけれど、俺にはちゃんと仲間ができた。
 分かってくれるヤツがいる。

 だからきっと大丈夫だ。
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