【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「来年も連れてきてください」
「もう、来年の話かい?」

 父上は面白そうに笑った。

「もっと早くてもいいです」
「まぁ、早駆けの馬なら半日もあればつく場所だ」

 父は愉快そうに目を細めた。

「そろそろお前にも馬を買ってやろう。アイスベルクの馬を。お前には赤毛がいいかな」

 父上はまるで自分のことのようにウキウキとそう言った。

「俺は、父上と一緒でピンクのカワイイ髪になるそうですからね」

 そう言えば、父上は噴き出して、アレは傑作だったと豪快に笑った。


 今度は馬を選びに来よう。
 慣れない俺を乗せてくれた、あの優しい赤い馬はもう誰かのものなのだろうか。

 流れる景色を眺めながら、早く大きくなりたいと、俺は思った。


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