【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
アイスベルクを離れる日、ウォルフに会った。ウォルフは牧羊犬の世話をしていたが、俺は勇気を出して問いかけた。
「なんで、黙っててくれたんだ?」
そう問えば、ウォルフはその質問に驚いたようだった。
「だって、仲間だろ」
当然のようにそう答えられて、俺は世界がパッと明るくなるのを感じた。
仲間に入れてもらえてた、そんなことに今更気が付いて、嬉しくなって嬉しくなって。
「うん、そうだ」
思わずそう答えたら、ウォルフは面食らったように笑った。
「フェルゼン様もまた来るんだろ?」
「ああ、またな」
そう答えて別れを告げた。
俺の腰にはあのブーメランがまだぶら下がっていた。