【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 アイスベルクを離れる日、ウォルフに会った。ウォルフは牧羊犬の世話をしていたが、俺は勇気を出して問いかけた。

「なんで、黙っててくれたんだ?」

 そう問えば、ウォルフはその質問に驚いたようだった。

「だって、仲間だろ」

 当然のようにそう答えられて、俺は世界がパッと明るくなるのを感じた。
 仲間に入れてもらえてた、そんなことに今更気が付いて、嬉しくなって嬉しくなって。

「うん、そうだ」

 思わずそう答えたら、ウォルフは面食らったように笑った。

「フェルゼン様もまた来るんだろ?」
「ああ、またな」

 そう答えて別れを告げた。
 俺の腰にはあのブーメランがまだぶら下がっていた。

< 87 / 408 >

この作品をシェア

pagetop