冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「きっと、贈り主様は神の御心を持つ、とても優しい御方だと思うの」
胸にそっと手を当て、リリーは微笑む。
正体のわからぬ、名も無き贈り主様。
もしも、いつかどこかで会えたなら、王女としてお礼をしなければならないとリリーはずっと前から考えていた。
(そして……私も貴方のように、尊い行いができる人間であれるように努めると、直接お話ししたい──)
名も無き贈り主へと想いを馳せるリリーの鼓動は、トクトクと弾むように高鳴った。
そっと空を見上げれば、白い翼を広げた鳥が一羽、願いを運ぶように飛んでいく。
木々の合間を縫うように差す木漏れ日は、空の彼方を見つめるリリーの足元を優しく照らしていた。
✽ ✽ ✽
「リリー様。国王陛下が、すぐに国王執務室へいらっしゃるようにとのことでした」
その日、リリーが孤児院から王宮に戻って身支度を整えていたら、政務中であるはずの国王に呼び出された。
国王が執務室に娘であるリリーを呼びつけることは珍しい。
(なにか、急用なのかしら……)
一抹の不安と疑問がリリーの脳裏をかすめたが、使いに寄越されたものには理由を訪ねても意味のないことだ。
当然、考えても思い当たる節はない。しかし、父からの命には従うほかないため、リリーは迷うことなく了承した。