冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 


「オリビア、ソフィア……。私、これからリアムを助けに行くわ」

「リ、リアム様を助けに?」


 力強くつぶやかれたリリーの言葉にソフィアは目を見張り、オリビアはキョトンと目を丸くして佇んでいた。


「リアムが、グラスゴーから帰ってこないの。エドガーは、私の身柄を差し出すように要求しているわ」

「そんな……っ!」

「エドガーは、どこかで私が生きていることを知って、私を手に入れるために躍起になっているのよ。エドガーは思っていた以上に、私に執着していたんだわ」


 そこまで言うと、リリーは唇をキュッと噛み締めた。


(エドガーがどうしてそこまで私に執着しているのかはわからないけれど、一度婚姻を無下にされたことを今でも恨んでいるのかもしれない……)


「私のせいで、リアムが……国が、危険に晒されている」


 リアムはあの晩、リリーが国のために犠牲になることはないと言ってくれた。

 けれど結局、今の状況はリリーの代わりにリアムが犠牲になっていることに他ならない。


「だから私はこれから、グラスゴーに向かおうと思っているの」

「そ、そんな……っ。どうやってグラスゴーまで行かれるおつもりですか!」

「先程、騎士団の伝令兵が話しているのを聞いたのよ。森を抜けた先に、武器を積んだ馬車がある。それに潜んで、エドガーの待つグラスゴーへと向かうわ」


 迷いのないリリーの言葉に、ソフィアは顔色を青くして固まった。


「そ、それはあまりに、危険すぎます……っ! そもそも、リアム様がここで待てと仰ったのなら、今動くのはリアム様の本意ではありませんよ!」


 ソフィアの言うことは最もだと、リリーも頭ではわかっていた。

 リアムはリリーにこの邸で自分の帰りを待っていろと言ったのだ。

 ここでオリビアを守るようにとリリーに告げて、グラスゴーへと単身で向かった。


「もちろん、ソフィアの言っていることはわかっているわ。けれど、私が動かない限り、余計な血が流れ続けるのよ。そして、このままリアムが帰らず、ラフバラに脅威が及べば、結局オリビアやあなたも危険な目にあうかもしれないわ」


 力強さを宿したリリーの瞳を前に、ソフィアはグッと唇を引き結んだ。

 
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