冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「あんたも、あんな女好きに見つかっちまって大変だね。きっと裏門の門番をしている男も、驚いたはずだよ」


 その女性の言葉に、リリーはそうか、と心の中で納得をする。


(だからあの人は、私をすんなり王宮内へと入れてくれたのね……。きっと、女と言うだけで、エドガーの息が掛かっているのかもしれないと思われたのだわ)


「ここは、私たちみたいな使用人の仕事場でね。あっちに台所があるんだよ。あんたを拾ったエドガー国王陛下がいるのは、この長い廊下を歩いた先だよ」


 女性はそう言うと、廊下の先を指差した。

 対してリリーはその親切な女性に、思い切ってあることを尋ねてみる。


「あ、ありがとうございます! あの、ひとつ、お伺いしてもいいでしょうか?」

「なんだい?」

「先日、ここにラフバラの騎士団長が尋ねてきたというのは本当でしょうか?」

「ラフバラの騎士団長?」

「は、はいっ。ええと、実は私の弟が、ラフバラの騎士団長が王宮に入っていくのを見たと言っていて……」


 精いっぱい平静を装いながら、リリーは使用人の女性に尋ねた。

 すると使用人の女性のひとりが、「ああ」と相づちを打ってからリリーの質問に答えてくれる。


「そういえば、衛兵のひとりがそんな話をしていたねぇ。随分、男前な騎士団長だったってさ。でも今は、エドガー国王陛下の命令で王宮の西側にある、地下牢にでも入れられているんじゃないかってね」

「西側の地下牢に……?」

「ああ、あそこにゃ、この廊下を真っすぐに行って左に曲がった先にある階段を降りれば行けるよ。なんでもエドガー国王陛下は、ウォーリックの第一王女のリリー様をご所望だとかでね。でも、その騎士団長がそれを断りに来たとかで、大層怒っているとかどうとか、衛兵は話していたねぇ」


 使用人の女性の言葉に、リリーは血の気が引く思いがした。


「でもさ、ウォーリック王国のリリー王女様といやぁ、何年か前に伝染病で亡くなったって話だろう? その王女様をラフバラの騎士団長に差し出せなんて、エドガー様も等々頭がイカれちまったのかねぇ」


 冗談交じりに言った女性たちの言葉を聞いたリリーの眉間には、思わず深いシワが寄った。

 やはりリアムはエドガーの手により、捕らえられてしまっていたのだ。

 それも、今聞いた話が本当であれば、リリーの身柄を差し出さないことが原因で……。

 
< 131 / 169 >

この作品をシェア

pagetop