冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「エドガーも今こそ身を固めるべきときだと考えていたようで、この度の婚姻話を持ち掛けたらふたつ返事で了承した」

「お……お話はわかりました。でも何故急に、婚姻の話が進んだのですか?」


 リリーは精いっぱい狼狽を押し込めると、努めて冷静に国王に尋ねた。

 リリーは一国の王女という立場。いつかは国交のため、自身の婚姻が利用されることは覚悟していた。

 けれど今回の決定は、あまりにも性急すぎる。

 自国と同等レベルの国へと、唯一の王女である自分を嫁がせるというのは、国王にしてはいささか短絡的過ぎるとリリーは感じたのだ。

 したたかなウォーリック国王はこれまで、近隣諸国の重鎮にまでその美貌を賞賛されるリリーの婚姻を、国交に最大限に利用しようと目論んでいた。


(だからこそ、お父様が私の結婚相手を選ぶのなら、ウォーリックの地盤を盤石にするような大国の王子に限ると思っていたのに)


 それなのに相手が自国とそう変わらぬ中級国というのは、あまりに想定外だ。

 つまり、リリーの父である国王の気持ちを逸らせる〝なにか〟が、この政略結婚の裏で動いている。


「どうやら、納得いかないという顔だな」


 そんなリリーの心慮に、さすがの国王も気がついたようだ。

 国王は不意に口元に浮かべていた笑みを消すと、リリーから目を逸らして忌々しげに事の次第について語り始めた。

 
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