冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「……お前も、かの憎きラフバラ王国が、国王が代替わりしてからというもの勢力を伸ばし、確実に領土を広げていることは知っているな?」
国王の問いに、リリーは戸惑いながらも頷いてみせる。
ラフバラ王国というのは、ウォーリック王国の東側に位置する大陸一の国の名だ。
たった今、ウォーリック国王が言ったとおり、二年前に現国王に王座が継承されてからというもの、確実に勢力を伸ばし続けている。
「そのラフバラは一年ほど前から我が国に、和平を持ちかけてきている。しかし、我らはそれに応じるつもりは毛頭ない。奴らは甘い条件をぶら下げれば格下のこちらが飛びつくと侮っているのだろうが、ラフバラとの和平はウォーリックの敗戦を意味する! だからお前の政略結婚は、ラフバラへの対抗策のひとつとなるのだ!」
ダンッ!と、サイドテーブルに拳を叩きつけた国王は、憎悪に満ちた目を光らせ、歯を食いしばった。
大国ラフバラとウォーリックの間には、長い争いの歴史がある。
両国の境に位置する肥えた土地を奪い合い、これまで多くの血を流してきたという因縁があり、孤児院にいたロニーの両親や、その他の子供たちの多くが、その争いに巻き込まれた被害者だった。