冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「奴らはウォーリックを……私を、腹の中では嘲笑っているのだ!!」


 プライドの高い父は、和平に応じたら負けだと思っている。

 ラフバラの配下となればもう二度と、大国にのし上がることはできないのだから、野心家の父からすれば当然の判断とも言えるだろう。

 ウォーリックの現国王であるリリーの父は、歴代の王たちの中でも群を抜いて戦好きの王なのだ。

 武力こそが、絶対的な正義と信じている。

 そんな父が、ラフバラとの和平に応じるはずがなく、リリーも半ばあきらめの気持ちがあった。

 しかしラフバラは、今やウォーリックとは比べものにならないほどの大国へと成長していることは誰もが周知の事実だ。


(だから、このままだと兵力差でラフバラに攻め落とされるのも時間の問題だと、この国の誰もが今、不安に思っているのに……)


 それは国王も内心では同じなのだろう。

 だからこそ早急に戦力を強化するため、リリーを隣国のグラスゴー王国の第一王子、エドガーに嫁がせることを決めたのだった。

 エドガーもウォーリック国王と同じく、戦好きの王子として知られていた。

 好戦的なグラスゴーと手を組めば、ラフバラにも対抗しうる兵力を得られるかもしれないと、リリーの父である国王は考えている。


(いいえ……。むしろお父様なら、いずれはグラスゴーと共にラフバラを攻め落としてやろうとまで目論んでいるのかもしれないわ)


 そのためなら、どれだけの民が犠牲になっても構わない。

 リリーの父は昔から、そういう軽薄で残忍な考えを持った狡猾な王だった。

 
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