冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「エドガーは、〝ウォーリックの美しい花〟と称されるお前を、いたく気に入っている。お前をエドガーの妻とすれば、お前を通じてエドガーを意のままに操ることも可能であろう」
面白そうに笑いながら口にされた国王の言葉に、リリーは身を震わせた。
エドガーは戦好きなだけでなく、女好きの王としても有名な男なのだ。
その上、ウォーリック国王と同じように派手好きな散財家で、やはり軽薄な人間でもある。
(よりにもよって、エドガーのもとへと嫁ぐことになるなんて……)
我慢ならない、とリリーは唇を噛み締めたが、それを口にしたところで父の意思が変わらないことは目に見えていた。
「婚姻はあちらの国の事情で二ヶ月半ほど先にはなるが、正式な書面は近々取り交わすことになっている」
「そんな……。それはあまりに急なお話ですわ」
リリーは藁にも縋るような思いでなんとか解決の糸口を模索した。
けれどリリーの表情が硬いことに気がついた国王は、鋭く射るような目をリリーに向けると冷淡な口調で言葉を続ける。
「もう決まったことだ。もちろん、お前に異論などは唱えさせん。もしも、お前が私の命令に背くというのなら、お前が施しを与えている孤児院への支援はすべて打ち切ろう。そして、エドガーとの婚姻の日まで、お前が王宮内から出ることは許さない」
「そんな……っ!」
「それが嫌ならお前は大人しく、私の命令に従っていればよいのだ。お前は私の大切な駒のひとつなのだからな」
残忍な父の言葉に、リリーは顔色を青くして言葉を失くした。
なんとか乱れた呼吸を整え、奥歯を強く噛みしめる。