冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
(でも……もう、それも諦めるしかない)
エドガーの妻となれば、自由に動くこともままならなくなるのだろう。
一生エドガーのそばを離れることは許されず、金銀の装飾品や宝石と同類の扱いを受けることになるに違いない。
そう思うとリリーの胸は千切れるように痛んだ。
同時に、一抹の不安が胸にうかぶ。
リリーが嫁いだあとも、ウォーリック国王は孤児院への支援を継続してくれるだろうか?
そのことを考えたらリリーは心配でたまらなくなり、ブランケットを持つ手がカタカタと震えた。
「……っ、ダ、ダメ! すぐに弱気になってはダメよ、リリー。俯く暇があったら、エドガーのもとへ嫁ぐまでの間に、何か対策を考えないと!」
「誰だ……っ!!」
「え……っ!?」
そのときだった。突然、男の唸るような声が、辺りに響いた。
ハッとしてリリーが顔を上げると、目的地であった秘密の花園にいつの間にか到着しており、温室の前に黒いローブをまとった背の高い男が立っているのが見えた。
(ま、まさか、侵入者──!?)
リリーは咄嗟に身構えた。けれど、男はすぐにリリーに飛びかかってきたりはしなかった。
そもそも、警備の厳しい城内に、侵入者がやすやす入り込めるとは思えない。
だからこそ今、ソフィアもリリーをこうしてひとりにしてくれているのだ。
そして月明かりを背に立つ男を改めてまじまじと見つめたリリーは、あることに気がついて目を見張った。