冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「……ありがとう、ソフィア。あなたは、私の誇りよ」
「勿体無い……お言葉でございます」
そうして互いに決意を胸に、部屋を出たふたりは国王のいる執務室へと向かった。
事の次第を包み隠さず話したリリーに対して国王は当然のごとく激怒し、リリーを今すぐ国から追放すると激しく吠えた。
「国王陛下、少しお待ちください」
しかし、居合わせたリリーの兄である第一王子、アイザックがそれを窘めた。
「リリーは、近隣諸国にも知られる美貌の王女です。国外追放したところで、何かの折に見つかり、ウォーリックの第一王女であると知られればそれこそ大問題になるでしょう」
リリーの兄であるアイザックは普段は物静かな男だが、妹のリリーを幼い頃から可愛がってくれていた。
「ならば……っ。今ここで、そのお腹の子ともども亡きものにしてくれようか!!」
「……国王陛下、どうか落ち着いてください。国王が唯一の王女を手にかけたなどと誰かに知られれば、それこそ国内で今以上の反感を買うだけです」
アイザックの言葉には国王に対する小さな棘が含まれている。けれど激昂している国王は、それに気づく様子もなかった。
実際、ウォーリックの民たちは、リリーが平和を願う心優しい王女であることを知っていて、彼女を敬うものも多かった。
その上、近隣諸国にも名を馳せるほどの皆目麗しい王女となれば、大きな支持を得て当然だ。
「何より今は、先日王位を継承したグラスゴーのエドガー国王陛下との婚姻の話を、どのように処理するべきかを最優先に考える必要があります」
リリーの結婚相手であるエドガーはこの二ヶ月の間に、自身の父である前国王から王位を継承し、グラスゴー王国の国王になっていた。