冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「幸い、リリーの懐妊を知るのはここにいるものと、診察をした王宮医師のみです。ならば、色々と策を講じることも可能でしょう」
そこまで言うとアイザックは、国王に見つからないように妹であるリリーに目配せをした。
兄の想いに気づいたリリーは、ぐっと唇を噛み締め、感謝で胸を震わせる。
「で、では……っ。どうするというのだ!」
「はい。王宮医師の診断の結果、リリーは不治の病で余命幾ばくもないということにしましょう。そして、他者に移る病であるとして、王宮外のどこか別の場所に隔離すればよいと思います」
「それはならんっ! 仮にもし、王宮外で見つかり、エドガーにリリーが死んでいないことが知られ、我が国が嘘をついたとなったら反逆される恐れがあるっ」
国王は声を震わせた。それほどエドガーは、リリーをいたく気に入っていたということだ。
美しいリリーを自らの妻とすることで、装飾品のように扱おうと考えていたのだろう。
だからこそ、リリーとの婚姻を破棄しただけでなく、後々ウォーリックが嘘をついていたなどと知られれば、どのような報復をされるかわからない。
「ならば……そうですね。例えば王宮庭園の森の奥深くにある、母上が大切にしていた花園にリリーを住まわせるのはどうでしょうか」
「あの場所に、リリーを住まわせるだと?」
「ええ。あそこは母上が懇意にしていたという理由もあり、普段から庭師以外はほとんど足を踏み入れません。そこへきて移る病であるリリーがいるとなれば尚更、近寄るものもいないでしょう。庭師も今回のことを理由に、あの場所からは遠ざければいい」
幸い、あの場所には以前に庭師が使っていた小さな小屋がある。
それは王女に対する扱いとしては最低位の、幽閉にも近い隔離処置だが、アイザックの言葉を聞いたリリーは足を前に踏み出し、父である国王に深々と頭を下げた。