冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「この度のことは、私に大きな過失がございます。お父様の……国王陛下の慈悲深いご判断に、心から感謝いたします。今日からリリーは……どうか死んだものとして、扱ってくださいませ。ご迷惑をおかけすることになり、本当に申し訳ありません」
潔のよい言葉に、さすがの国王も小さく唸った後で苦虫を噛み潰したような顔をした。
そうしてその日、王宮内とエドガーのもとへ、リリーが不治の病に侵されたという【嘘】が知らされることとなる。
王宮内では突然の悲報に皆が一様に嘆き悲しみ、リリーの回復を願うものが涙を溢して祈りを捧げた。
エドガーは使者からの知らせを聞いても納得のいっていない様子だったということだが、他者に移る病であると言われれば会って真偽を確かめるわけにもいかず、泣く泣く諦めたということだ。
そして当然ながら、リリーの噂は国内外にもあっという間に広まった。
彼女の短命を惜しむ声があちこちで溢れ、噂はしばらくしてリリーが亡くなったらしいというものに変わり、いつの間にかリリーの名を口にするものはいなくなった。
「これでいいの……。孤児院への支援も、秘密裏にお兄様が継続してくださると約束してくださったし、もう心配することはないわ」
対して、リリーは約束通り【幽霊姫】となり、ウォーリック王国の王宮庭園の森の奥深くにある秘密の花園……小さな小屋で、王女とは思えぬ慎ましやかな日々を送っていた。
ソフィアだけが彼女の世話をすることを許され、食事は庭師の分だと言われて用意され、王宮内でもリリーの事実を知るものは極僅かに限られていた。
そして――冬の寒さに身が切れるある日、新たな命が産声を上げる。
「リリー様……っ! どうか、お気を確かにっ。ソフィアがそばについております!」
「んーーーっ! ハッ、ハァッ、ハ……ァッ」
壮絶な痛みに耐え、ソフィアに見守られながら迎えられた命は、力強く高い声を響かせた。