冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「リリー様によく似た、元気で可愛らしい女の子ですよ!」
産まれてきた子は黒髪の、美しいオリーブ色の瞳を持つ女の子だった。
それはあの日──リリーが見た、隻眼の衛兵の面影を残しており、言いようのない感動がリリーの胸を高鳴らせた。
「……オリビア。この子の名前は、オリビアよ」
そう言うと、リリーは愛しい我が子を見つめて美しい涙を流した。
【オリビア】
それは、リリーと男の共通の瞳の色であるオリーブ色と、男が去ったあとにリリーに持たせたオリーブの木の枝から由来するものだ。
そして平和を願う、尊い想いを込めた未来に続く名前だった。
✽ ✽ ✽
「──さぁ、オリビア。花の冠ができたわよ」
今年も、ウォーリックに春を告げる暖かな風が吹いた。
柔らかいリリーの声に、パァッと表情を明るくした小さな女の子はトタトタとリリーに駆け寄り、目一杯腕を伸ばす。
「わぁー! おかーたま、ありあとぉ!」
女の子──オリビアは、花の冠を頭に乗せてもらうと花が開いたように可愛らしい笑顔を浮かべた。
オリビアが誕生してから、もう二年三ヶ月という月日が経った。
力強い産声とともに生まれた命は、リリーとソフィアに守られ、可愛がられながら、すくすくと元気に成長していた。