冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「ふふっ、ありがとう、よ。オリビア」

「ありーまと?」


 キョトンとしながら首を傾げる舌足らずな愛娘を、リリーは愛おしげに見つめる。


「オリビア様は本当にリリー様によく似た、とても可愛らしいお顔立ちをしていますわ」

「そうかしら……」

「ええ、そうですとも! 雪のように白い肌も、宝石のように美しいオリーブ色の瞳も、クリっとした大きな目も桜色の唇も頬も……すべて、何もかも、リリー様にソックリです!」


 キャッキャと無邪気に笑うオリビアをあやしながら語られたソフィアの言葉に、リリーは曖昧な笑みを浮かべたあとで遠くを見つめた。

 確かにオリビアは、顔立ちこそリリーとよく似ている。

 けれど、ソフィアも本当は気づいているのだ。

 髪色は──リリーと同じプラチナブランドではなく、父であるあの男と同じ、艶やかな黒色。
 それは確かに、オリビアがリリーとあの男の子供であることを示していて、生涯変わらぬ真実だった。


(あれからもう、三年以上が経つのね……)


 そっと瞼を下ろしたリリーは、胸に手を当て息を吐く。

 リリーが隻眼の衛兵と一夜をともにしてから、もう三年。

 オリビアの父親である男の顔を、リリーはもうほとんど思い出せなくなっていた。

 そもそも夜の闇の中、黒いローブで顔を覆い隠していたので、元より顔立ちなどはよくわからない。

 
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