冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「オリビアはきみに似て、とても可愛らしい容姿をしているな。将来はきっと、きみのように美しい姫になるのだろう」


 そう言うとリアムは、ふっと口元を僅かに緩めた。

 微笑でしかないが、初めて見るリアムの笑みに、リリーの疑問はより深いものとなる。


「……オリビアに、何か用事でもあったの?」

「え?」

「明日改めて会いに、ということは、何かあの子に用事でもあるのかと思って」


 疑問を口にしたリリーは、リアムの真意を探るように彼の右目をじっと見つめた。

 リアムがオリビアに感心を持っているかもしれないと思ったら、警戒心が増したのだ。

 まさかとは思うが、オリビアを人質に使おうとでも考えているのか。

 自分なりに理由を想定したリリーの眉間には、嫌悪のシワが深く寄る。


「いや……用事というほどでもないが、これを、オリビアに渡したいと思っていて」


 と、徐ろにリアムが手を伸ばしたのは、そばにある重厚なデスクだった。

 彼が手に取ったのは、デスクの上に置かれていた水差しほどの大きさの袋だ。

 続いてガサガサと中から取り出されたものに、リリーは驚いて目を見張ると、思わずそれとリアムの顔を交互に見つめてしまった。


「それは……うさぎの、ぬいぐるみ?」


 リアムの手に持たれているのは、どこからどう見てもうさぎのぬいぐるみだった。

 触り心地のよさそうな白い毛に、首元には赤く可愛らしいリボンが巻かれていて、いかにも小さな女の子なら食いつきそうな代物だ。


「……ああ。任務を終えたあと、急ぎでラフバラの城下町に買いに寄ったんだが、オリビアが何を気に入るかわからず、結局その店の店主が勧めるものを買ってみたんだ」


 リアムはそう言うと、言葉に似合わぬ無表情でリリーを見た。

 相変わらず彼の真意はわからないが、とにもかくにもぬいぐるみは、リアムがオリビアのために用意したもので間違いないらしい。

 
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