冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「それなのに俺は今、きみに触れたくてたまらない」
ため息も出そうなほどの色気をまとったリアムの言葉に、リリーの身体は金縛りにあったかのように動かなくなった。
真っすぐに自分を見るリアムの目には、甘い熱が滲んでいる。
リリーの胸の鼓動は早鐘を打つように高鳴り始め、頬は勝手に色づいていた。
(リアムは今、たしかに私を政治的取引に利用するつもりはないと言った。それに、私とオリビアを〝大切〟と言ったわ)
聞き間違えではないのかと、リリーは自分の耳を疑いたくなった。
(どうして? なぜ今彼は、そんなことを私に言ったの?)
リアムの真意が、リリーにはわからない。
しかし、リアムの言葉をそのまま鵜呑みにするほど、リリーも純粋無垢な乙女ではなかった。
(騙されてはダメ。口ではなんとでも言えるのよ)
実際、リリーと一夜を過ごした隻眼の衛兵も、自身の罪から逃れるために王宮から逃げ出した。
今、自分を懐柔するためにリアムは甘い言葉を囁いているのだと、リリーは自身に強く言い聞かせた。
「も、申し訳ないけれど、そんな言葉で騙されるほど、可愛いお嬢さんではないのよ」
「騙してなどいないさ。実際、俺は今、きみのことしか見えていない。今すぐきみをこの腕で抱きしめて、できるならば朝を迎えるまで離したくはないと思っているんだ」
「な……っ」
しかし、リリーの精いっぱいの反撃さえ、リアムは熱のこもった言葉の応酬で軽くあしらってしまった。
リリーの身体の熱は上がっていくばかりだ。
言われ慣れないことを言われたら、さすがに平静を装うことも難しくなってくる。
(あ、朝を迎えるまで離したくないっていうのは、もちろんそういうことよね?)
それが何を意味するのか。考えたら必然的に、顔は耳まで赤く染まってしまった。