冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
「わ、私が世間知らずの王女だと思って、からかわないで!」
「からかってなどいない。今言ったことは、本心だ。今すぐきみに触れて、きみの体温も、甘い吐息も、すべてを俺だけのものにしたいと言ったら、きみはもっと俺のために頬を赤らめてくれるのか?」
「――っ」
リアムには、リリーの気が焦っていることも見透かされていた。
それが余計にリリーの羞恥心を煽る。
胸の前で握りしめられたリリーの手には、じんわりと汗が滲んでいた。
まるで獲物を狩る獣のような目が、リリーを捉えて離さない。
(は、早く彼から、離れなければ……!)
頭では理解していた。けれどリリーはそう思っても、リアムの熱のこもった瞳から目を逸らせなくなっていた。
(これもすべて、私を利用するための嘘なの? それともまさか、本当に……?)
まるで、あの晩──隻眼の衛兵と熱を交わしたときのようだ。
自身を見下ろすオリーブ色の瞳と、今のリアムの灰色の瞳が重なり、リリーの心臓は何かを知らせるようにせわしなく動き続けた。
「なぁ、触れてもいいだろう?」
「ダっ、ダメよ! それもすべて、私を利用するための調子の良い嘘でしょう!?」
もう狼狽を押し込めることすらできなくなっていた。
リリーはあと一歩のところで自分に触れそうになるリアムに向かって叫ぶと、彼を睨むように下から見上げた。
「そもそも昨日、どうしてあなたはウォーリックの王宮内にいたの!? 本当はウォーリックの城下町に火を放ったのも、グラスゴーの兵ではなく、あなたたちラフバラの聖騎士団だったのではなくて!?」
疑心暗鬼に陥ったリリーは、今日一日、ずっと頭の中を巡っていた可能性をリアムにぶつけた。
ウォーリックからラフバラへと連れて来れられる馬車の中でも、考えていたことだ。