冷徹騎士団長に極秘出産が見つかったら、赤ちゃんごと溺愛されています
 

「も、もしもお父様が言っていたとおりであるなら、グラスゴー同様、ラフバラもウォーリックを自国の支配下に置こうと考えているに違いない! だから、ウォーリックに危機感を与えるためにあなたたちが火を放ったと考えれば、軍を率いるあなたが交渉のためにあの場にいたと考えてもおかしくないわ!」


 そこまで叫んだリリーの息は切れた。

 けれど同時に、今度はリアムの表情が暗く淀む。

 それはリリーたちを攫うと宣言したときに向けられた冷たい瞳と似ていて、思わずリリーの胸の鼓動は不穏に跳ねた。


「……たとえ冗談でも、姑息で下等なグラスゴーの兵と、我々ラフバラの聖騎士団を同列になどしないでもらおう」


 低く、地を這うように低い声が、リリーを咎める。


「あの日、我々ラフバラの聖騎士団は、兼ねてより和平を申し込んでいたウォーリックにグラスゴーの兵が攻め入るという情報を聞きつけ、ウォーリックを救うために馳せ参じたに他ならない」

「え……?」


 思いもよらないリアムの返答に、リリーは今度こそ目を見張って言葉を失くした。


「俺があの場にいたのはウォーリック国王に、ラフバラ国王からの書状を届けるためだった。その間、騎士団の隊員たちはウォーリックの民に危害を加えていたグラスゴーの下賤な兵どもを討つべく動いていたし、無関係の民には一切の危害も加えていないと神に誓って断言できる」


 そこまで言ったリアムは、怒りを押し込めるように眼帯で隠されていない右の瞼を静かにおろした。


「そして結果として、我々ラフバラ聖騎士団が現れたことで、グラスゴー軍は撤退を余儀なくされた。現在も混乱の続くウォーリック周辺では、騎士団の隊員たちが見回りなど助力している」


 つまりリアムの言うとおりであれば、ウォーリックはラフバラに危機を救われたというわけだ。

 想像していた答えとはまるで違うものに、リリーは再び混乱した。

 
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