没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「早く、俺達だけの姫になれ」

 首筋に触れる、柔らかな素肌の感触。

 ぴったりと寄り添う二人の体の逞しさと、心地よく安心するくらいの程よい重み。

 布越しにじんわりと伝わってくる、まるで子供のように少し高めの二人分の体温。

 耳のすぐ近くで聞こえている、二人分の穏やかな息遣い……。

(もしかして私……。 今、とんでもない状況じゃないかしら……!?)

 それら全てを改めて意識してしまったら、流れていた涙なんて、驚くほど一瞬で吹き飛んだ。

「あ、あの……っ!!
少しだけでいいから、離れて下さい……っ!!」

 距離が異常なほど、近すぎる。

 思い出したくないのに、思い出してしまうから。

 愛してると何度も囁いたくせに、彩希を捨てた元婚約者を。

 どうしたらいいのか、本当にわからなくて。

 それと同時に自然と胸の鼓動が高鳴って、息が詰まりそうで甘く苦しい。

「ふふ、可愛いね彩希。
顔が真っ赤だよ……?
私達を意識してないわけじゃ……ないんだね」

「前の最低な男なんて、早く忘れてしまえ。
俺達は、あんな男みたいにお前を捨てたりしねぇし。
なんなら、このまま寝所に直行するか?」

 気絶するくらい、めちゃくちゃ可愛がってやるぞ?

 彬親が恥ずかしげもなく平然と、真顔で奥の部屋を顎でくいっ、と示した。
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