没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「だめですーっ、絶対にだめなんですよ!
あれはもう、渡せる代物じゃないんですから……っ」

「何がだめなんだよ?
お前が仕立ててくれた衣装なら、たとえどんな物でも喜んで受け取るぞ?」

 激しく何度も首を振る彩希に、彬親が首を傾げながらそう問いかける。

 向かい側にいる芳哉も不思議そうに目を丸くして、ぱちぱちと頻りに瞬いていた。

「か、考えてみて下さいよ……?
私、今まで一度もまともな衣装を仕立てられたことがありません」

「おう、知ってる。
この間なんか、仕立ててる途中で限界越えて俺達の目の前で、ぼろぼろ泣きじゃくってたしな」

「そ……っ、それは今すぐ記憶から消去して下さいっ!」

 なんて恥ずかしいことを、しっかりと覚えているのだろうか。

 確かに、ここに来てすぐに衣装の仕立てを頼まれたことがあった。

 けれど、生まれつき不器用だから針仕事も苦手で、それでも一生懸命頑張ったけれど、形にすらならなくて。

 拾ってくれて、新しい居場所まで与えてくれた二人に申し訳なくて、自然と泣いていたのだ。
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