没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「あんな失敗作、みっともなくてお二人に渡せません……」

 しょんぼりと項垂れて、彩希はぼそぼそと小さく呟いた。

 二人のために、今回も一生懸命頑張った。
 けれど、やっぱり最初の頃と、何も変わらなくて。

 縫い目は好き勝手にあちこちに泳いでいて、たまに穴が開いていたり。
 左右の袖の長さが違っていたり、着丈が短かったり……。

 あんなの、二人には見せたくない。

「見てみないと、失敗かどうかなんてわかんねぇだろ?
お前がそう思い込んでるだけかもしれないしな」

「私達はね、彩希。
仕上がりだけを期待しているわけではないよ。
彩希が悩み悩んで選んでくれた反物も楽しみだったんだから」

 二人の優しい声に、彩希は目を潤ませながら顔を見上げる。
 そして、少しだけ首を傾げながら口を開いた。

「ほ、本当に……本当ですか……?」

「そんなに何度も聞かなくても、本当だよ」

 芳哉が困ったように笑い、彬親を見る。
 すると、彼もまた困ったように笑った。
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