没落姫の溺愛婚~双子の寵姫も楽じゃない!?~
「大丈夫だって、信用しろ。
絶対に笑わねぇから」
彬親は優しく彩希の頭を撫で、ぎゅうっ、と抱きしめてくれる。
彩希は二人の優しさを噛みしめながら、近くに置いていた二つの布の山を指差した。
「あれです。
右が芳哉様ので、左が彬親様のものです」
彩希は彬親に抱きしめてられたままだから動けないので、申し訳なく思いつつ芳哉にそう示す。
すると、芳哉は「いいよ」と優しく笑いながら彩希の頭を撫で、布の山を手に取った。
「とても優しい色を選んでくれたんだね。
他の女房達はさ、ものすごく濃くてうんざりする色を選ぶんだけど……」
「お二人には……濃い色合いより、少しだけ褪せたような淡い色合いの方がお似合いかと、思いまして……」
それに、二人が濃い色合いの衣を纏った姿を、見たことがなかったから。
もしかしたら、嫌いなのでは……、と思ったのだ。
そう二人に告げると、驚いたように目を丸くして、頻りに瞬く。
そして、ふにゃりと表情を一気に崩して満面の笑みを浮かべた。