あたしを撫でる、君の手が好き。

「もし、あっくんから『彼女できた』って徳永さんを紹介されたら……そのときは、祝福できるように頑張る」

たぶん、めちゃくちゃ悲しくてつらいと思うけど。

食べかけのハンバーガーをトレーに置いてうつむくと、桃佳があたしの頭に手を伸ばしてきた。


「よしよし。でも、あたしはまだ諦めるには早いと思うよ」

くしゃりと髪を撫でてくれる桃佳の手は優しい。その動作があっくんを思い出させて、切なくなった。

そのあともしばらく他愛のない話をしてから、あたしたちはハンバーガーショップを出た。


「るみ、このあとどうする?まだ時間あるなら、カラオケでも行く?」

「うん、行こっか」

桃佳が誘ってくれたのは、あたしがあっくんのことで落ち込んでいたからだと思う。

桃佳の気持ちが嬉しかったから、その誘いに頷いたのだけど……


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