あたしを撫でる、君の手が好き。

「もうひとつ欲しい」

欲張ってねだってみたら、あっくんが僅かに目を見開いて。それから、あたしの両肩に手をのせて軽く押した。

化学準備室のドアにトンっと背中がぶつかって、視線を下げたあっくんが距離を詰めてくる。


「そんなの、どこで覚えてきたんだよ」

眉を寄せたあっくんが、睨むみたいに少し目を細める。


「ごめん、嘘、嘘……」

欲張ったから、嫌がられたかも……

嫌われるのが怖くて笑って誤魔化そうとしたら、あっくんが噛み付くようにあたしの唇を塞いだ。

一度目は触れるだけで離れていったあっくんの唇が、今度は強く押し付けられて、あたしから酸素を奪う。

頭がぼーっとなって、息苦しくて。倒れないようにあっくんのシャツの胸元をつかんだら、長いキスから解放された。

熱く火照った頬に、同じくらい熱いあっくんの手が触れる。そのまま横髪に差し入れられた手が耳の後ろを撫でてくるから、なんだかとても心地良かった。


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