あたしを撫でる、君の手が好き。

「それって、ふたりが付き合いだしたって解釈で合ってる?」

眉を寄せて複雑そうな表情を浮かべた富谷くんが、あたしの顔を見てゆっくりと確かめるように訊ねてくる。


「え、っと。まぁ、うん……」

真っ赤な顔で戸惑い気味に頷くと、富谷くんの表情が一瞬くしゃりと崩れたのがわかって、胸が痛んだ。

明確に言われたことはなかったけど、富谷くんはたぶん……


「えー!なんだよ、それ。俺、気持ち伝える前に失恋じゃん」

明るい声でそう叫んだ富谷くんが、笑いながら大袈裟に肩を落とす。

冗談混じりに伝えられた富谷くんの気持ちに、あたしは複雑な笑みを浮かべる以外に言葉を返せない。

一瞬泣きそうな顔をしたくせに、敢えて明るく見せてくれる富谷くんに「ごめんなさい」の言葉は伝えられないから。

心の中だけで「ありがとう」と「ごめんなさい」を伝えるしかない。


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