あたしを撫でる、君の手が好き。

1日で気持ちの切り替えができるはずなんてないのに、あたしに笑いかけてくる徳永さんはとても潔くて綺麗だと思う。


「春菜、おはよー。学校まで俺と一緒に行こうよ」

富谷くんが、あっくんからふらっと離れて徳永さんに近付いていく。


「え、どうしてあたしが富谷なんかと一緒に行かなきゃいけないの?」

「いいじゃん。春菜、俺のマネージャーでしょ?」

「サッカー部のマネージャーだけど、あんたのマネージャーではないから」

徳永さんの肩をトントンと叩いてふたりで歩き去ろうとする富谷くんは、あからまさまに嫌そうな態度を示している彼女のことなんてお構いなしだ。 
 

「ちょっと富谷、押さないでよね。あたしは静かにひとりで登校したいんだけど」

いろいろと文句を言っていた徳永さんだけど、最後は仕方なくといった感じで富谷くんと並んで歩いている。

学校に向かって進んでいくふたりの周囲は、彼らが校門に入っていくまでずっと賑やかだった。


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