あたしを撫でる、君の手が好き。
◇
「亜聡くんが来るなら、もうちょっとちゃんとしたもの用意しといたのに。次からはもっと早く言ってよね。スナック菓子と牛乳か麦茶しかないんだけど」
あっくんを部屋に通したあと、お菓子を取りにキッチンに行くと、お母さんがキッチンの棚を漁りながらぶつぶつ言っていた。
「なんか変な取り合わせだけど、牛乳や麦茶出すよりいいわよね?」
お母さんが、ポテトチップスと紅茶を淹れたカップをトレーにのせてあたしに渡す。
「なんでもいいよ。夕飯前だし、そんなに食べないから」
苦笑いを浮かべながらトレーを運んで行こうとするあたしの後ろで、お母さんは「他に何かなかったかなー」といつまでも独り言を言っていた。
待たせているあっくんのことが気になるあたしは、キッチンの棚をまだガサガサと漁っているお母さんを放置して、部屋に戻る。