あたしを撫でる、君の手が好き。
楽しそうに笑い合っているあっくんと徳永さんを見つめたまま立ち尽くす。
購買に行っているあいだにこんなことになるなら、あっくんのおつかいなんて断ってしまえばよかった。
あっくんの言うことなんて聞かずに、握らされた100円玉を全部つっかえせばよかったんだ。
だけど……もしそうしていたとしても、いずれ近い将来こういう結末を目にしてしまうことになったのかな……?
だってあっくんは、あたしをひとりの女の子としてすら認識していない。
泣きそうになっていると、不意にぽんっと肩を叩かれた。
「あ、ごめん……」
桃佳が励ましてくれたのかと思って、ペットボトルを左腕に全部抱え直して、右手で目元を擦る。
「え!?どうしたの、シロちゃん。泣いてる?」
だけど、聞こえてきたのは桃佳の声ではなくて。焦ったような富谷くんの声だった。