あたしを撫でる、君の手が好き。
まさか富谷くんだとは思わなくて、びっくりして滲みかけた涙も引っ込む。
「ごめん、シロちゃん。ジュースのお礼言おうと思っただけなんだけど。俺、びっくりさせちゃった?」
富谷くんがあたふたとしながらあたしの顔を覗き込んでくる。
その慌てぶりがなんだかおかしくて、あたしは思わず吹き出してしまった。
「違うの、全然。ちょっと目にゴミが入っちゃっただけで」
「ほんとに?大丈夫?泣くほど痛いとか、よっぽどじゃん。シロちゃん、コンタクト?」
富谷くんがそう言いながら、心配そうに顔を近付けてくる。
本人にはあまり自覚がないのかもしれないけど、富谷くんは人との距離が近いと思う。
ドキッとしながら身を引いて、富谷くんにコーラのペットボトルを差し出した。
「ありがとう。ほんとに大丈夫。頼まれてたシュワシュワするやつ、これでいいかな」
「あ、ありがとう」
あたしからコーラを受け取った富谷くんは、にこりと顔いっぱいに笑ってくれた。