あたしを撫でる、君の手が好き。




首の後ろにひんやりとした冷たさを感じて目を開ける。

ぼんやりとした視界に誰かの陰が見えたと思ったら、すぐに聞き慣れた声がした。


「シロ、気付いた?」

「あっくん……?」

どうして? あっくん、あたしに怒ってたよね……?

それにあたし、どうして寝転がってるの?

どうやら、ここは保健室のベッドらしい。


「あ、急に起き上がるな」

勢いよく身体を起こそうとすると、あっくんに止められた。


「覚えてる?シロ、閉会式終わったあとに急に倒れたんだけど」

「え、うん……」

そういえば途中で頭がふらふらして感覚が遠くなった気がしたけど……

あのあと、倒れたのか。あんまり記憶がない。


「倒れた直後、すごい熱があったけど。いつから体調悪かったんだよ」

呆れ顔のあっくんに責められているような気がして、目を伏せる。


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