ボーダーライン。Neo【上】
「じゃあ、あと三日。延ばして貰ってもいい? 十日あればパスポート、間に合うと思うから」

「え」

 あたしは眉を下げ、彼らを交互に見た。

「分かった。じゃあ出発は十五日って事で」

 ひとり置いてけぼりをくらうあたしを余所に、美波は、よろしく~、と楽しそうな声を上げた。




「ねぇ、美波。本当に大丈夫かな?」

 あたしはガラステーブルに、袋の中身を置いた。フライドポテトやサラダ、冷えたビールの缶を二、三本並べる。

 女性二人の宅飲みを想定した店員さんの計らいか、おしぼりが四つも入っていた。

 あの後、ショットバーを出て、コンビニでアテを買い、既に自宅だ。旅行の計画を立てるという名目で、美波がそのまま泊まりに来ている。

「何が?」

 コンビニのフライドポテトをつまみ、美波はキョトンとする。

「何がって。あの二人について行って、大丈夫かな?」

「うん? サチは何かされると思ってるの?」

「な……ッ!! そ、そんな訳ないでしょー??」

 瞬時に秋月くんを思い出し、耳まで熱くなる。

「そうじゃなくて、お邪魔じゃないかなって。秋月くんたち、田舎に帰るようなものだし。あたしたちがいたら、何かと遠慮しないかな?」

 美波は、うーん、と言いながら、ポテトを口にする。
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