ボーダーライン。Neo【上】
 あたしは仕方なく、応援するとか、何とか、と答え、首を傾げた。

「サンキュ」

 秋月くんは、カイくんを見て微笑んだ。

「何かよく分かんないけど。カイくんもいいんだよね? サチはそれでOK?」

 返事を振られ、あたしは狼狽えた。

「え、てかあたし。パスポート持ってないんだけど」

「んなの、申請したら一週間で出来るって!」

「一週間って。今日4日だよ? 丁度それぐらいからお盆休みに入るけど?」

「あ」

 しまったと言わんばかりに、美波は口をあんぐりと開けた。

「二人共。出発はいつから?」

「え。十二日の夜から、だけど?」

「うわ。丁度一週間先じゃん」

「ね? 無理だって。美波」

 そりゃあ、行きたい気持ちは分かる。あたしだって海外旅行、した事ないし。

 でも、また行こうと思えばいつでも行ける。秋月くんへのガイドは望めないけど、学校行事の旅行でもない限り、特定の生徒と旅行は出来ない。

 諦めモードの美波を宥めていると、その彼女に助け舟が出された。

「あ。何だったら日にち、延ばせるけど? なぁ、カイ」

「うん」

 ーーえ。秋月くん、何で? さっきは、行きたきゃ勝手にって、つれなく答えてたのに。

 彼らの言葉に、美波はパッと顔を上げた。
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