ボーダーライン。Neo【上】
 あたしはノロノロと頭を回転させ、美波を見つめた。

「あたし達って、美波……」

「あたしと~、サチ。決まってんじゃん!」

 言いながら肩にポンと手を置かれた

 目の前が真っ白になりそうだった。頭がクラクラして、この展開について行けなくなる。

「だ、ダメだよ、美波。何言ってんの??」

 ーーだって、旅行だよ? 有り得ないでしょ、特定の生徒と、異性と旅行とか。きっと酔っているせいで、実現不可能な事を口走っているんだ。

「だってっ。話によると二人共帰国子女なんでしょ? いいガイドしてくれそうじゃん!」

「だからってそれはいくら何でも。秋月くんだって迷惑」

「じゃないけど、俺は」

 ーーえ。

 あたしは目を丸くして彼を見た。本気? とつい訊きたくなる。

「なぁ? カイ」

 カイくんは、秋月くんから何かを感じ取り、早口の英語で答えた。

「Should I make it like? Because I am supported」

「……カイ」

 美波に「今なんて?」と訊ねられるが、流暢すぎて聞き取れなかった。

 秋月くんはイギリスの血が入ったクォーターだが、カイくんはその血がさらに濃い、ハーフだ。

 前に秋月くんから聞いたのだ。見た目、外国人と相違ない、青い瞳の彼が従兄弟だと紹介された時に。
< 98 / 269 >

この作品をシェア

pagetop