キミの世界で一番嫌いな人。




この男と友達になれたことは、やっぱり何よりも幸運だったと思う。

最初、隣の席になれて良かった。
「あんた誰」なんて、声かけられて良かった。


私、この先もアッキーのことだけは忘れないよ。

……もちろん先輩も。



「アッキー、先輩はね…、男だった俺との思い出はいい思い出って……思ってくれてるんだよ、」



そこまでハッキリとは言われなかったとしても。

今の私にはそれだけで十分だった。


でもそう思うと、バレなければずっと傍にいれたのかなって。

ほら、本当に私って図々しい。



「それだけで十分だって思うのに……、嫌なの、なんでかな」



あのときベッドで笑ってくれた。
髪を撫でてくれた。

女としての私をまっすぐ見てくれた。


あのとき、なんて。
ついさっきなんだよ。

まだ今日なんだよ。



「それでも俺…まだ頑張りたいって思うよ…っ、なにすればいいか分かんないけど、アッキー…俺はどうしたらいい…?」



わからないから、聞いてみることにした。

この親友ならきっと正しい判断をしてくれるはずだ。



「…じゃあもう、頑張らなくていい」


「っ…!」



グイッと腕を引っ張られて、ポスッと胸に引き寄せられて。

気づいたときには背中に腕が回っていた。



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