キミの世界で一番嫌いな人。
「あっきぃ…?」
「…俺さぁ、今までお前に“男だろ”とか、“頑張れ”とか言ってきたけど」
アッキーはいつどんなときも友達として、男として私の背中を押してくれた。
私が女に戻ってしまいそうなときも、男だろって、必ず渇を入れてくれて。
そのおかげでここまでやってこれた。
「もう頑張れなんか言わない。頑張らなくていい、お前はもう十分よくやったよ」
「よくやった……?俺、なんにもできてないよ、結局悲しませて…終わった…、」
「いいんだよもう。よくやった、偉いよお前は。本当に…すごいって」
ポンポンと撫でるように、優しく叩いてくれる。
傘なんかいつの間にかベンチ脇に無造作に置かれていて。
アッキーも雨にびしょ濡れだ。
そんな髪から滴った水が、頬に垂れた少しあと。
「それに」と、続けた親友。
「毎回あの人に泣かせられるおまえ見るのも結構キツいんだよね俺。…藤城サンを殺したくなる」
うわ……、アッキーだ。
絶対いま開眼してる。
いや、今日のアッキーはずっと最初から笑ってすらいなかった。
「誰がこんなブッサイクな顔見たいって話」
「…え。確かにブサイクだけど…っ、ひどいよアッキーっ!」
「そうそう。やっぱり小鳥はピーピー喚かなきゃね」