キミの世界で一番嫌いな人。
優しいんだか優しくないんだか分からない。
前もそうだ。
褒めてるのか褒めてないのか分からなくて、アッキーって最初からそういう人だった。
「それと、大事にしないと殺すって言わなかったっけ?」
「……え。」
……あ。
ワンピース、雨でびしょ濡れだ。
冷や汗なのか雨なのか分からないものが、こめかみに垂れた。
身体が離されると、いつものアッキーが目の前。
「だ、大事にしてるよっ!俺いつも女の子になるときはこれ必ず着てるし…!」
「…まぁ、それは嬉しいけど」
「着やすくて気に入ってるんだよ俺っ!」
するとアッキーは私の顎をスムーズに掴んだかと思えば、そのままクイッと引き上げた。
「“俺”じゃないだろ?」
あ……、私、か…。
そっか、もう隠す必要がない。
でもアッキーは男友達だから自然と“俺”って癖がついちゃって。
「わ、わた…し、」
こんな雨の中でもいつも通りに似た会話を交える私たち。
だけどふっと笑ったアッキーの顔は、そのまま近づいた。
「───んっ…!?」
本日2人目のキスは、まさかのこの人。
ファーストキスも今日。
それなのに違う人に同じことをされている。
「ん…っ、あっき…っ!」
「…なんだ、甘い声出せるんじゃん」