キミの世界で一番嫌いな人。
「…俺の初恋の女の子はさ、」
ゆっくりと伸ばされた腕は、私の髪を撫でてくれた。
泣きそうに笑っているのに、瞳はちゃんと開いていて。
アッキー、いつの間にそんなにも人間味のある顔ができるようになってたんだね、って。
親友として、そんな冗談を言いたくなった。
「夏祭りで出会ったんだ。長い髪で浴衣着てて、かき氷持ってて。それで…、誰かに似てるなあって思って」
ドッペルゲンガー?って、アッキー笑ってた。
ナンパみたいなことしてくるからびっくりしたんだよ私。
だって廣瀬 秋斗がこんなちんちくりんをナンパ?って。
「…俺、その子が好きなんだよね」
今の私は、その子じゃない。
いつもいつもアッキーや先輩にはいろんなキャラクターを演じてきた。
アッキーの知ってる熱血馬鹿のチビはどこかに行っちゃって。
それで妹ちゃんのようにいつも何かを隠してるような、よそよそしい子でもない。
「俺、“チビ”のことはトモダチだと思ってるよ今でも」
優しく服を着せてくれた彼は、私の上から退いた。
そのままふわっと腕を引いて起き上がらせてくれる。
トモダチ…。
そして───…チビ。