キミの世界で一番嫌いな人。
秋斗side




「俺がこのサッカーでシュート決めたら…友達になってくれないかな」



そんなお願いをしてきたチビ。

誰に言ってんの?

アキだよ?
お前、自分の立場わかってる?


そんな馴れ馴れしくしてくるのはお前くらいだし、俺は今すぐにでもこいつをボコれるってのに。



「おまえ練習でもド下手だったじゃん」


「そ、そうなんだけど。だからこそ俺が決める可能性って少ないから…、賭けに乗って欲しい」



トモダチ、なんて。

馬鹿馬鹿しい。


結局そんなもの成り立たないんだよ。
男女の友情は成り立たないのと同じでさ。



「なんでそんなに俺とトモダチになりたいの?」


「…俺、秋斗くんをアッキーって呼びたいから。そのためには君のことを知りたい」



なーに言ってんだか。

こんな奴に藤城サンも心動かされたから、つるんでるわけ?



『アッキー、今日も母さん友達と会ってくるわね』


『うんっ!いつ帰ってくる?』


『明日の夜には帰ってくるわ。ご飯、お弁当買っておいたから』



トモダチ、オンナ。

そんなワードはいつだって俺の過去として貼り付いては離れない。



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