キミの世界で一番嫌いな人。




「いたっ!いーよどうせ俺は一生チェリーだよっ!!」



むきになったことで思ったより声が出た。



「うわっ、ねぇ聞いた?」


「あの真ん中の人だけズレてるよね」


「やだキモ~~い」



……あ。

またもや女子高生からの冷たい視線がお見舞いされてしまうし、他人のふりをするように距離を作る約2名だし。



「やだキモーい」



なんて真似をして遠くで笑うアッキー。

ずんずん近づいてガシッと掴んで、わざと見せびらかしてやる。



「でもアッキーが貰ってくれるんだろっ!俺の初めてはこの整った顔のトモダチが貰ってくれるんだって!」


「…チビ、ちょっとこっち」


「ん?───うわぁぁっ!ごめんって!!痛い痛い…っ!!」



両手こぶしで頭グリグリを、無事に食らう私。

この廣瀬 秋斗には何をしたとしても倍返しされてしまうらしい。



「お前らうるせぇんだよ」


「自分は混ざれないからって僻みは良くないよ藤城サン。そんなんだから誰も寄って来ないんだよ」


「…お前だってこいつくらいしかいねぇだろ。つーか、こいつが友達とか逆効果だな」


「うるさいな。いつもこんなチビとつるんでんのはあんただろ。今日だってこんな馬鹿に騙されて来たくせにさ」



待って。
どうしてだんだん私の悪口になってるの?

刺してくる的(まと)は私なんですけど。



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