キミの世界で一番嫌いな人。
「もー!いいよプリクラは諦めるから帰ろうっ!!」
あーあ、撮りたかったなぁ…。
入院ばかりの小学生、入退院を繰り返した中学生、1年間過ごした共学高校ではそこまで仲がいい友達もできなくて。
やっとこうしてできたと思えば、男ばかりで、私も男で。
「…廣瀬、お前だけ帰れ」
「は…?」
アッキーの間抜けな声を気にせず、先輩は私を見つめた。
「1回だけだからな」
「…え、でも1回で何枚も撮れるって…、」
「ならそれだけだ」
え、一緒に撮ってくれるの…?
有無を言わさない背中はずんずん機械が並ぶ場所へと。
呆然と立ちすくむ私に「早くしろ」と、振り返った先輩。
「えっ、待って先輩っ!」
「割り勘だぞ」
「俺がぜんぶ出します!!」
両替機に千円札を入れた先輩。
まさか藤城 理久と2人でプリクラが撮れるなんて。
「アッキー今日はありがと!じゃあまた明日学校で!!」
唖然としている友達へと手を振って、先輩を追いかけた。
初めての機械に2人で戸惑っていると、その間を割るように背中から伸びてくる手。
「とりあえず適当にお任せでいいんじゃないの」
慣れた手つきでタッチパネルを操作してから、なぜかアッキーも入ってきた。
男3人で気持ち悪いって言ってたのは誰だったか。