AIが決めた恋
「わ、私は、女の子だよ。」

必死に抵抗しようとした。

「わ、私は…!」
「うるさい。言い訳すんなよ。こんな髪の短い不細工が女なわけないだろ。」

今にも溢れ出てしまいそうな涙をぐっと抑える。ここで泣いたら、私の負けだ。

「ねえ、私、女の子だよね?」

隣にいた、当時仲の良かった幼馴染みに助けを求めた。ここで彼女が私の言葉に肯定すれば、信憑性(しんぴょうせい)が上がる。
これで、彼らの負けだ。
そう思った。しかし、予想していた答えは帰ってこなかった。

「この子、男だよ。私は昔から仲良しだから知ってる。女の子じゃないよ。」

目の前が真っ暗になる。
私はあっさりと裏切られたのだ。

「ほら〜、やっぱり男じゃねーかよ!」
「スカート脱げよ!」
「脱〜げ!脱〜げ!脱〜げ!脱〜げ!」

男子達が手を叩いてコールする。その声は、次第に周りへと伝染していき、私は怖くなって、その場から走って逃げた。
そして、私はホテルの部屋にこもった。
最悪だ。スカートを穿いただけで、1人で舞い上がって、本当に馬鹿みたいだ。
潮干狩りになんて来なければよかった…。
そう思った。海へ来るのが楽しみだったのに、海のことが嫌いになりそうだった。
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