新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「腹が減っただろう? サンドイッチを食べるといい」

 チャーター機では目を覚ましてすぐに食事が出された。あれから四時間以上は経っており、おなかはたしかに空いている。

 私はすぐ近くの彼の斜め横のソファに座る。

 曇りひとつないガラスのローテーブルの上に、アイスコーヒーと円い形のサンドイッチが置かれた。

 それは私が見たことがないものだった。真ん中に黒いぽつぽつしたものがたくさんあり、それがおいしいものなのかわからず考えあぐねる。

 年配の女性が立ち去っても、私はサンドイッチにジッと視線を落としたまま。

「キャビアは嫌いなのか?」

 ふと彼の声が聞こえてきた。

「キャビア……? 名前は聞いたことがあるけど……」

 キョトンとなる私はお皿ごと手に持って自分の鼻に近づけた。

 別に嫌なにおいではない。だけど田舎育ちのせいか、おしゃれで初めて見る食べ物にはなかなか手が伸びない。

「チョウザメの卵を塩漬けにしたものだ」
「卵……イクラみたいなものね」

 色と形はイクラとはまったく違う。どちらかといえばトビウオの卵、トビコとイクラの中間?

 私は見た目よくずらすように置かれていた蓋になるパンをのせて、大きな口を開けてかぶりつく。

 もぐもぐと咀嚼して味わってみるけど、すごくおいしいとは思わない。でもおなかが空いていたので完食し、アイスコーヒーを飲む。

 そっちはいつも飲むものよりもおいしくて目を見張った。

「ごちそうさまでした」

 両手を合わせて、アイスコーヒーの水滴で濡れた手をTシャツの裾の方で拭いた。

 食べ終わったものの、彼はまだ書類を読んでいる。

 早く雪丸に会いにいきたいのに……。

 私は部屋の中をぐるりと見渡してみた。

 本当にすごい部屋ね。写真を撮って渚に見せたら興奮するに違いない。それにしても、馬主には会えないのかな。

『雪丸を本当によろしくお願いします』とひと言だけ言いたかったのに。

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