新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「雪丸!」
「ブルルル……」

 私の声に雪丸は頭を上げて方向転換した。私は馬房の中に入り、雪丸の首に飛びついた。

「雪丸!」

 私はボディバッグの中に入れていた袋を取り出して、角砂糖を二個出した。

「食欲ないの? 大好きなお砂糖よ」

 手のひらの上にのった角砂糖に雪丸は鼻を近づける。少しして、私の手をなめるようにして角砂糖を食べた。

「おいしいね! 飼葉も食べなきゃ!」

 私は餌箱の中に入っている飼葉を手に取って、彼の口もとに持っていく。すると雪丸はムシャムシャ食べ始めた。

 よかった……。

 私の手の中の飼葉では物足りなかった雪丸は、自分で移動して餌箱の中に顔を突っ込んだ。

「いい子ね! 困らせないでちゃんと食べなきゃダメよ」

 そう声をかけると、雪丸は反抗するように「ブルルルルル」と鼻を鳴らす。

「すごいな。君たちには強い絆があるようだ」

 馬房の外で腕組みをして立っていた結城さんがそう言い、獣医師と話をする。

「結城さん、ここに泊まらせてください」
「君はスノーラウンドを甘やかしすぎる。まるで母親だな」
「だって、こんなにも不安になっているんですよ? 知らない環境に雪丸は戸惑っているんです」
「だからといって、今一緒にいられても君は日本へ帰るのだから、彼が早くここに慣れるように心を鬼にした方がいい」

 ビシッと言われてしまい、私はなにも言えなくなる。

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