新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 結城さんのアパルトマンに戻り、彼からも話があると言われ、私はリビングのソファに座った。
 
 すぐに先ほどの女性がアイスティーとチョコレートケーキを持ってきてくれる。
 
 結城さんは先ほどと同様にひとり掛けのソファに腰を下ろし、私は彼の斜め前に座った。

「楽にして」と言われ、私は即座にスニーカーを脱いでソファの上であぐらをかいた。

 結城さんは長い脚を組み、アイスティーへ手を伸ばす。

 そういった所作にも優雅さが感じられ、ふとこの人は何歳なのだろうと思った。

 初対面のときと印象は変わらない。二十代後半にも見えるけど、これだけ財を成しているということは三十代? あ、でも親の七光りなのかもしれないし……。

 そんなことを考えていると、結城さんに「どうぞ。召し上がれ」とチョコレートケーキを示された。

「あ、いただきます」

 私はお皿を手にして、円い形のチョコレートケーキを手掴みで口へ運ぶ。

 おいしいっ! チョコレートが濃厚で、甘すぎず……。

「最高のケーキです!」

 もぐもぐと咀嚼したのち、なぜか私をジッと見つめている結城さんに気づいた。

 なんで見ているの?

 口の周りについているのかと思い、とりあえず指で拭おうとした。

「ちょっと待て」
「えっ?」

 口へ持っていった手が止まる。

「これで拭くんだ」
「ありがとうございます」

 結城さんに濡れナプキンを差し出され、それを受け取り口を拭った。

「君のおじいさんに頼まれていることがあるんだが」
「おじいちゃんに?」
「ああ。そんな君だからだろうな」

 結城さんは思い出したように口もとを緩ませる。

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