新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
「そんな私だからって?」
「女性は初対面の相手の前であぐらをかかないし、ケーキもフォークを使って食べる。そして、子どもみたいに口もとに食べかすをつけたりしないんだよ」

 彼は表情を変えずに、つらつらと私の悪いところを指摘した。

「だ、だからって、おじいちゃんとなんの関係があるんですか?」

 見事に観察されていたと知って憤り、あえてあぐらを解かずにつんとしてしまう。

「日野戸さんは君にガサツなところを直し、女性らしい所作を身につけてほしいそうだ。会って数時間しか経っていないが、君には直すところが数えきれないくらいある。手はTシャツの裾で拭いていたしな」

「おじいちゃんが私に女らしくっ? 冗談じゃないわ。牧場で働く私にそんなの必要ないし」

 つい敬語も忘れ、私はあぐらをほどき結城さんに向かって仁王立ちになる。

「落ち着け。本当にじゃじゃ馬だな。俺は日野戸さんに君が女らしくなるようにしつけてほしいと頼まれた」
「あ、あなたに?」
「そうだ。これが君あての手紙だ」

 結城さんは書類ケースから白い封筒を抜き取って私に渡す。そこには大きく私の名前が書かれていた。

 どういうつもりなのか早く知りたくて、中から一枚の用紙を取って開いてみる。

 紛れもなくおじいちゃんの字で、日本にいてもなかなか女性らしい所作は身につかないだろう、結城さんのところでお世話になって、女性らしい紅里になってほしいと書かれていた。

「なんで……」

 ポツリと気の抜けた声しか出ない。

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