新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 今日もすっきりと晴れていて、気持ちがいい。

 石造りの大きな建物の前に車が停まった瞬間、私は助手席から飛び出した。

「瑛斗さん、雪丸のところへ行ってきます」

 早口でそれだけを告げ、厩舎に向かって駆け出した。

 息を切らして厩舎に着いたが、昨日いた馬房に雪丸の姿がない。

「雪丸!?」

 私は踵を返して外に出た。

 辺りをキョロキョロ見回すと厩舎の先にある柵が目に入り、そこへと向かう。

 柵の中に数頭の馬が見える。

 いた!

 あちこちに散らばる馬の中に、白毛に灰色が交ざった芦毛の雪丸を見つけた。

「雪丸!」

 私の声に反応した雪丸はピクッと耳を動かし、声のした方を向く。そして柵に近づく私へと駆けてくる。

「雪丸!」

 柵を乗り越えた私のもとで雪丸は足を止めた。

「ちゃんとご飯食べてる?」

 私は雪丸の首に抱きついてから、ポンポンと優しくなでるように体に触れる。

 雪丸に乗り、駆け巡りたい気持ちに襲われる。しかしそれは許可されなければできない。

「あ、角砂糖持ってきたの」

 ボディバッグから袋を取り出し、雪丸に角砂糖を食べさせる。

「紅里、今スノーラウンドに鞍をつけさせる」

「えっ?」

 背後から聞こえてきた瑛斗さんの声にハッとして振り返ると、柵の向こう側に瑛斗さんとレナさんがいた。

 瑛斗さんの腕に手を置いたレナさんはしきりに足もとを気にしている。細いヒールに土がついているのが見えた。

「それって……? 雪丸に乗っていいんですか?」
「ああ。彼も君に乗ってもらいたそうだ」
「瑛斗さん! ありがとうございます!」

 お礼を言ったところで、牧場の男性が鞍を肩に担いでやって来て、雪丸につけてくれる。その間に瑛斗さんとレナさんは離れていく。

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