新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 うしろ姿はまさに恋人同士のように見える。

 ぼんやりふたりを目で追っている私に、牧場の男性が手綱を渡して去っていった。

「雪丸、よろしくね!」

 私が騎乗すると、それを合図に雪丸は駆け出した。柵の中は広く、ほかの馬に邪魔されることなく伸び伸びと走れる。

 元気で、力がみなぎっている様子がわかり、私は安堵した。

 体重が減った問題はすぐに解消しそうだ。それまで見守れるといいな。

 雪丸に騎乗するのはかれこれ十日ぶりだった。私は思う存分彼との乗馬を楽しんだ。

 景色は素晴らしく、緑が青々とし、空気が澄んでいる気がする。おじいちゃんの牧場が一番だと思っていたけれど、ここも素敵だと素直に感じられた。

 常歩をしているところへ、堂々たる肢体の黒馬が駆けてくるのが目に入り、騎乗している人物を見て驚く。

 黒馬を見事に操っているのは瑛斗さんだった。

 近くまで来た瑛斗さんは、黒馬をゆっくり歩かせて雪丸の隣に並ぶ。

「さすが馬主ですね」

 瑛斗さんが馬に乗れるとは思っていなかったが、牧場を持っているのだから乗馬ぐらいできなくてはおかしいのかもと思い直す。

「馬は小さい頃から好きなんだ」
「小さい頃から? 牧場で育ったんですか?」

「いや、出身は東京だ。近くに乗馬クラブがあったんでね。それから馬に魅了されている」
 
 瑛斗さんの言葉からは馬への愛情が感じられた。あのすごいチャーター機も、もしかしたら雪丸が少しでも快適に過ごせるようにと手配してくれたのかもしれない。

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