新妻の条件~独占欲を煽られたCEOの極上プロポーズ~
 私はショップ内にある服が上品なワンピースやドレスばかりなことに気づく。

「紅里さんはどんな色味が好きかしら?」

 店員と話し終えたレナさんが私の手を引き、深紅のワンピースの前へ立つ。

「クラシックなデザインだけど、派手な赤じゃなくていいわね」

 たしかに嫌みのない赤で、丈も膝下くらいの素敵なワンピースだ。だけど、私にはこのワンピースを着る機会がない。少なくとも北海道へ帰ったら、タンスの肥やしにになるだろう。

 というか、ここにあるすべての服が私には必要ないものだと思う。

「レナさん、もっと実用的な服が欲しいのですが……」
「あら、これは実用的よ。紅里さんに必要なのは女性らしさなのよ? 出会ってから薄汚れたデニムとTシャツしか見ていないわ。それではダメよ。私は瑛斗から頼まれているの。ほら、これを着てみて」

 レナさんはつらつらと言い放った後、店員にそのワンピースをトルソーから脱がすように言っている様子。

 薄汚れたデニムと言われて、内心ショックだ。

 フランス語はわからないけれど、話の流れと、レナさんの身振り手振りもあるからなんとなくわかる。

 店員はトルソーからワンピースを脱がして、レナさんに渡す。

 結局レナさんは五着ほどワンピースを選んで私をフィッティングルームに向かわせ、試着したそれらの中から三着を選んだ。

 値札を見てもその服がいくらするのかすぐに換算できないから、レナさんがカードを会計時に出しているのを見て、忘れないように合計の数字を覚える。

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